鯖ラー 第2回「 選別」
各社が提供しているVMの品定めをしつつ相場や料金体系を把握していく。まずは予算範囲内で大まかにスペックや価格を比べる。
まるで獲ってきた鯖を選別するかの如く・・・
条件
月額1000〜2000円ぐらいを目処に各社のサービスをスクリーニングする。世界の大手3社(アマゾン、グーグル、マイクロソフト)、国内老舗(サクラ)、格安(DigitalOcean/Linode/Scaleway)を対象とした。
また、外貨決算のサービスは、現在(2018/10/09)の為替レートで円換算している。米ドル( $1 / 113.74円)、ユーロ(€1 / 131.18円)。
※root権限不要であれば、月数百円からホスティングできてしまう・・・(XServer/ロリポップなど沢山ある)。しかしそれでは、鯖ラーではなくなってしまう。鯖ラーというからにはroot権限は必須だ。
集計
No | ベンダー | VMモデル | CPU | メモリ | ストレージ | Internet | 通貨 | 月額 (円) | 初期 (円) | 公表スペック |
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1 | Amazon AWS *1 | t3.micro | 2 vCPU | 1GB | 従量制*1 | 従量制*1 | 米ドル | 864 | 0 | 2.5 GHz Intel SkylakeP-8175 |
2 | ” | t3.small | 2 vCPU | 2GB | ” | ” | ” | 1727 | 0 | ” |
3 | ” | t3.mediam | 2 vCPU | 4GB | ” | ” | ” | 3454 | 0 | ” |
4 | Google GCP *2 | f1-micro | 0.2 vCPU | 0.6GB | 30GB無料枠*2 | 従量制*2 | 米ドル | 441 | 0 | vCPU共用(20%) |
5 | ” | g1-small | 0.5 vCPU | 1.7GB | ” | ” | ” | 1493 | 0 | vCPU共用(50%) |
6 | ” | n1-standard-1 | 1 vCPU | 3.75GB | ” | ” | ” | 2760 | 0 | 不明 |
7 | Microsoft Azure *3 | B1S | 1 vCPU | 1GB | 従量制*3 | 従量制*3 | 日本円 | 858 | 0 | 不明 |
8 | ” | B1MS | 1 vCPU | 2GB | ” | ” | ” | 1692 | 0 | ” |
9 | ” | B2S | 2 vCPU | 4GB | ” | ” | ” | 3433 | 0 | ” |
10 | サクラ のVPS*4 | 1G | 2 vCPU | 1GB | 30G(SSD) or 100GB(HDD) | 無制限 | 日本円 | 976 | 1620 | 不明 |
11 | ” | 2G | 3 vCPU | 2GB | 50G(SSD) or 200GB(HDD) | ” | ” | 1706 | 2160 | ” |
12 | Digital Ocean*5 | Standard 1x1 | 1 vCPU | 1GB | 25GB(SSD) | 1TB | 米ドル | 569 | 0 | 噂:Xeon |
13 | ” | Standard 1x2 | 1 vCPU | 2GB | 50GB(SSD) | 2TB | ” | 1137 | 0 | ” |
14 | ” | Standard 1x3 | 1 vCPU | 3GB | 60GB(SSD) | 3TB | ” | 1706 | 0 | ” |
15 | ” | Standard 2x2 | 2 vCPU | 2GB | 60GB(SSD) | 3TB | ” | 1706 | 0 | ” |
16 | ” | Standard 3x1 | 3 vCPU | 1GB | 60GB(SSD) | 3TB | ” | 1706 | 0 | ” |
17 | Linode *6 | Nanode 1GB | 1 vCPU | 1GB | 25GB(SSD) | 1TB | 米ドル | 569 | 0 | intel Xeon E5 |
18 | ” | Linode 2GB | 1 vCPU | 2GB | 50GB(SSD) | 2TB | ” | 1137 | 0 | ” |
19 | ” | Linode 4GB | 2 vCPU | 4GB | 80GB(SSD) | 4TB | ” | 2275 | 0 | ” |
20 | Scaleaway *7 | 1-XS | 1 vCPU | 1GB | 25GB(SSD) | 無制限 | ユーロ | 261 | 0 | 噂:Atom |
21 | ” | 1-S | 2 vCPU | 2GB | 50GB(SSD) | 無制限 | ” | 523 | 0 | ” |
22 | ” | 1-M | 4 vCPU | 4GB | 100GB(SSD) | 無制限 | ” | 1048 | 0 | ” |
23 | ” | 1-L | 8 vCPU | 8GB | 200GB(SSD) | 無制限 | ” | 2098 | 0 | ” |
- AWS特記・・・アイオアリージョン/オンデマンド料金/ストレージ参考価格:sc1(HDD) $0.025 1GB/mon〜 / インターネットトラフィック参考価格:上り無制限、下り$0.09/1GB、1GBまで無料。リージョン間トラフィック別途 /リザーブド(1年・3年)割引あり
- GCP特記・・・アイオアリージョン/継続利用割引1ヶ月を適用/ストレージ参考価格:標準永続$0.04 1GB/mon〜/インターネットトラフィック参考価格:上り無制限、下り$0.12 /1GB。リージョン間別途 / AllwaysFree枠あり1xf1-micro、30x1GB/月、他。/確定利用割引あり(1年・3年)
- Azuru特記・・・東アメリカリージョン/ストレージ参考価格:S4 32GB(HDD) 172円/月。一時ディスクは計上していない。/インターネットトラフィック参考価格:上り無制限、下り9.75円/1GB、5GBまで無料 / 時間従量制で計算。/リザーブド(1・3年)割引あり
- サクラのVPS特記・・・初期費用あり/東京・石狩1・石狩2からデータセンター選択可能。/バンドルタイプ(Cpu/Ram/Strage/Transfer)料金体系で、ネットワーク無制限、ストレージはSSDとHDDのどちらかを選択/年間契約割引あり/VPSの他サクラのクラウドがラインナップ。今回は割安なサクラのVPSで比較)
- DigitalOcean特記・・・12リージョン全て値段同じ。最寄はシンガポール / バンドルタイプ(Cpu/Ram/Strage/Transfer)料金体系
- Linode特記・・・9 Datacenters/3 Regions 、東京あり、全リージョン均一料金 / バンドルタイプ(Cpu/Ram/Strage/Transfer)料金体系
Scaleway特記・・・Startプラン x86-64/ リージョンはフランスのみ(パリ・アムステルダム) / バンドルタイプ(Cpu/Ram/Strage/Transfer)料金体系で、ネットワークは無制限 / フランスの会社だが世界向けて英語でサービス展開。決算はユーロ。
無料枠については期限付きのものは対象外としている。
- 料金は月額=730時間で計算。月単位割引があるものは適用した値段を計上。
- 基本的にマシンタイプは、汎用/ベーシックタイプを選択。OSは追加料金不要なLinux選択。
結果
上記の表にまとめた。以下に気になった点をあげてみる。
- 各社vCPUの個数だけでCPUスペックの詳細はあまり公表されていない。
- 基本的にAMD64(X86-64bit)アーキテクチャでIntelのXeon等のサーバー向けCPU。ScalewayはAtomプロセッサ(噂)
- ストレージとネットワークに関しては従量制の料金体系と、CPU/メモリとバンドルされているタイプの2種類の料金体系がある。
- サクラは初期費用がかかる。
- GCPのAllwaysFree枠でf1-microインスタンスが無期限で実質無料で使えそう。
- 各社サインアップ時に期限付きの無料枠のキャンペーンをしている。
- 各社1年・3年契約などの長期割引制度がある。
- AWSスポットインスタンス、GCPプリエンプティブインスタンスのように、リソースの空き時間活用した大幅値引き制度がある
- GPUインスタンスの提供は、AWS/GCP/Azure/サクラ(高火力)。
- TPUインスタンスの提供は、GCPのみ。
- FPGAインスタンスの提供は、AWSのみ。
- Armアーキテクチャのインスタンス提供は、Scalewayのみ。
- 大手3社はやはり強力な印象。個人の小規模なサイトから世界最大規模までスケール可能。そしてなんと言っても魅力的なのは、その会社が抱えるインフラ/最先端のコンピューティング(特に力が入っている、AI関連のサービスなど)の恩恵を受けられる点だと思う。
- 逆に大手以外は、VM提供に特化するなどの差別化やバンドル料金体系の傾向。
- 表にまとめてみてわかったが、サービスの内容を細部まで調べると、一概に比較できない。自分の用途にあったものを選ぶのがベストだが、ブランドで選んでしまうのも良いと思う。
今後
各社のVMを実際に試用する。
CPUスペックなどの情報収集。扱いやすさ。日本語サポートなどの状況。など・・・
今のところ、複数のベンダーを使うのが良さそうな予感。例えば、大手と格安を組み合わせるなど。
ー追記2018/10/10ー
ScaleWay気になって試してみたら本当にAtomでした。
〜続く〜